2014年08月25日

成年後見制度について

前回の「認知症患者と不動産取引」で、最後に成年後見制度の利用と既述しましたが、

もともと、知的障害のある人、精神障害のある人のために、民法で禁治産者および準禁

治産者の制度があり、財産等の保護が図られていました。しかし、認知症の人について


想定していませんでした。

こうした人々は、介護保険利用に当たっての契約、介護施設への入退所や遺産分割など

の法律行為を自分で行うことが困難であったり、悪徳商法などの被害にあう恐れがあり、

現実に、これらの人々の増加に伴って、トラブル、被害事件も増加してきました。

そこで、認知症の人を含め、このような判断能力の不十分な人々を保護し、支援するため

新たに弾力的で利用のしやすい成年後見制度が介護保険制度と同時に2004年4月より

施行されました。

これには、以下の二つの制度があります。

@ 法定後見制度

 従来の禁治産者、準禁治産者の制度の延長にある制度で、既に判断能力が減退した

 本人について代理権・同意権・取消権を持つ補助人、保佐人、成年後見人を判断能力

 の減退の程度に応じて、家庭裁判所が選べるようになっています。

  補助は、判断能力が不十分である者について、本人が選択し、同意する特定の法律

 行為につき代理権・同意権・取消権を与える。

  保佐は、判断能力が著しく不十分である者について、民法13条所定の行為に同意権・

 取消権を与え、本人が選択する特定の法律行為に代理権を与える。

  後見は、判断能力を欠く常況にある者について、広範な代理権・取消権を与えるもので

 本人は選挙権、被選挙権も喪失する。

A 任意後見制度

 本人に判断能力がある段階で、将来の判断能力の減退に備え、本人が代理人(任意後

 見人)に財産管理、身上監護等の委任事項と報酬額を定めて、公正証書により契約を

 締結しておき、判断能力が不十分になった段階で、家庭裁判所が選任する任意後見監督

人の監督下で保護を受ける。


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2014年08月23日

認知症患者と不動産取引

急速に高齢化が進んでいる中、不動産の売買、賃貸借や遺産分割を取り扱う際に、

事案の当事者や利害関係人が認知症になっていて、手続きが進まない場合が多く


なつている。

人が不動産売買などの法律行為を有効に行う場合には、自分の行為の性質や結果

を判断することのできる精神的能力(意思能力)が必要である。

この意思能力を欠く人が行った法律行為については、民法に規定はないが、無効と

される。

この意思能力の有無は、その行為の内容によるが、10歳未満の幼児、泥酔者、重い

精神病や認知症にある者には無いとされているが、事案ごとに具体的に判断される。

認知症患者の意思能力の有無は年齢、認知症の程度、行為の動機・背景、内容、難

易、重大性、行為の結果が正しく認識されたか等を総合的に考慮して判断される。

特に、判例動向(*)から不動産取引におけるポイントになるのは次の点である。

@ 医学上の認定

  医師が簡易知能評価スケール、MMSE(いずれも10分程度で質問に答える検査

  方法)やMRT(磁気を利用して脳の状態を映像化し観察する検査)等により検査し

  た診断があるか。

    (これで認知症と診断されても実際の不動産取引において意思能力は必ずしも
     否定されない)

A 不動産の契約を理解できる判断能力

  不動産の取引に当たっては高度な理解力があるか必要であり、「代理権授与の委

  任状に署名した」とか「売却に必要な書類に署名捺印した」だけでは意思があったと

  は認められない。

B 不動産取引の合理性

  不動産取引という観点からその取引が合理的であるか否かということも意思能力が

  あるかどうか大きな判断基準となる。「売却代金が非常に低廉である」とか「売却に

  より新たな移転先が必要になるのに、この点にすら思い至ってない」など合理的な

  判断能力を有する者からみて不合理な取引の場合は、意思能力を欠いていると判


  断される。

C 高齢者にとって不利な取引か否か

  当該取引を有効にすると高齢者本人に不利と思われる事案では、公序良俗違反を


  適用して、取引の効力を否定している。「高齢者の弱い立場や意思能力に不安があ


  ることを知りながら、取引の相手方が自らの利益を図る目的で、契約内容をほとんど


  説明することなく契約した」として、公序良俗違反を適用し取引を無効としている。

D 成年後見制度活用の必要性

  *  RETTO.2011.1 NO.80  

      「認知症患者の不動産取引をめぐる最近の判例動向」   福島直樹
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2014年08月17日

これからの住宅「スマートハウス」について

国立社会保障・人口問題研究所によれば、日本の総人口は2010年の1億2800万人

をピークに減少局面に入り、2060年には2800万人に減少する見通しです。

当研究所のデータから、住宅購入層といわれる38歳から41歳の人口は、10年後には、

(即ち、現在28歳から31歳の人口が)25%減少する。また、野村総合研究所の調査で

は、2025年度には新設住宅着工戸数は現在より40%減少するとの見通しを立ててい

ます。

このように、人口減少で住宅市場の規模縮小が確実な中、国の省エネの推進とストック

社会の形成という方針により、より付加価値の高い製品で顧客の囲い込みを狙う大手ハ

ウスメーカー等はエコ住宅の研究開発を急いでおり、日本の住宅は大きく変わろうとして

います。つまり、標準的な住宅が、安全・長持ち・快適をキーワードとする「スマートハ


ウス」になるものと思われます。

スマートハウスとは何か? 明確な基準はないようですが、それには3つの特徴があるよ

うです。

@ 建物が高気密、高断熱の構造になっている。
    省エネの基本で、夏は熱を取り込まない、冬は熱を逃がさない構造で、冷暖房機器
   給湯機器も高効率なものを使う

A エネルギーを創り出す設備がある。
    太陽光発電、ガス利用により発電と給湯を行う家庭用燃料電池などの創エネ設備
   を使う

B エネルギーを蓄えるための蓄電装置が設置されている。

この3つの特徴を備え、家庭内エネルギー消費量を総合的に管理・制御し、最適化する

「スマートメーター」あるいは「家庭用エネルギー管理システム(HEMS])」が導入された

住宅がスマートハウスといわれているようです。また、スマートハウスの考え方、システム


を街全体に広げたのが「スマートシティ構想」といわれるものです。

国はスマートハウスの購入者(建築主)に対して助成措置を講じており、2030年までに


新築住宅について、このエネルギー消費量をトータルでゼロにする「ネット・ゼロ・エネル


ギー・ハウス(ZEH)」の標準化を目指し、新たな支援を考えているようです。



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